「・・・ばか」
「・・・・・・」
「お前の取り柄は、健康なことだろーが。病気で苦しんでる人いっぱいいるのに、そんなこと言うな」
「ばかじゃないもん」
・・・ていうか、もう手遅れだよ先生。
わたし、先生のこと好きすぎるビョーキだもん。
そう言ったら、ほっぺたをぎゅーっと、つねられた。
「痛っ!?」
「はいはい、それは知ってるから」
返ってくるのはいつだって、そんな余裕な言葉。
先生の右手が、わたしのほおをすべり落ち、変わりに左手が、わたしに、傘を差し出す。
「おれ、ちょっとまだ病院の用事して帰るから。これ持って帰───」
「キスしてくれたら治るかも!!」
先生を引きとめて、そう言って、くちびるをつきだした。
目をつむる。
視界はまっくら。