それなら先生、もっと優しくして。
でろでろに甘やかして、骨の髄まで優しくして。
多分そしたらわたし、痛いのも辛いのも全部麻痺して、半世紀くらい長生きできそうな気がするから。
先生。せんせい。
「・・・びょーきになりたい」
「は?」
いきなりのわたしの一言に、柊先生は、すこし笑って首をかしげる。
「だってそしたら真っ昼間でも、学校の時間でも、柊先生のお仕事中でも、先生に会いにいけるもん」
突然だけど、そんなことを思ったんだ。
そんなことを思って、すごく子どもっぽい考えだなぁーなんて、自分にあきれる。
先生にそっと腕をつかまれて、巻き付いていた力をゆるめる。
こっちを振り返った先生の瞳には、やっぱり、やさしい色が浮かんでた。