「せんせ・・・っ!!」
「うわっ!?」
後ろから、タックル並の勢いで抱きつく。
がつんと鼻を打ったけど気にしない。気にならない。
お腹の辺りに、これでもかってほど、ぎゅーって巻きついて。
「・・・やっぱり来てた」
ぽつり、聞こえた先生の声に、胸がぎゅうっとなって。
腕の力も、さらに強めた。
「ごめんな。今日、いないこと、伝え忘れたと思って」
「それで、来てくれたの?」
わざわざどしゃ降りの雨の中、お仕事が終わった病院に。
おっきな黒い傘をさして。
少し急いだ、早足で。
・・・そんな風に優しいから、わたしは先生を好きでいるのをやめられないんだ。
きっとこれからも。ずっと。
好きになってくれないなら優しくしないでなんて、わたしは絶対言えない。