「・・・はーい、黙ってる黙ってる」
石岡先生はすこし笑って、机にマグカップを置きながら、うなずいてくれた。
・・・そっと。
先生の白衣に、ゆっくりと腕をとおす。
あ、かすかに、柊先生の匂い。
男の人の、清潔な香り。
白衣はやっぱりおっきくて、だぼだぼで。
袖口なんか、たっぷり垂れるくらい、余ってる。
でも、体全部、先生に包まれてるみたいだ。
もし実際に、こんな風に先生にぎゅーってされたら・・・。
おばけみたいに垂れた袖で、白衣の前開きの部分を、キュッとしめる。
・・・たぶんそしたらわたし、幸せで死ねる。
「・・・美景っちは、かわいいなぁ」
石岡先生の声に、はっと、我に返る。
・・・うわ、顔、熱い。
自分の行動が、今さら恥ずかしくなった。