「・・・・・・あ」

「ん?どーかした?」




鼻先をくすぐる甘い香りが、部屋に漂い始める。




「ね、これ、柊先生の白衣でしょう?」

「えっ、うん。すごいな、なんでわかんの?」




石岡先生は驚いた顔をするけど・・・そんなの、わかるし。



襟の折れ曲がり具合とか。


ボールペンをうまく差し損ねて、ポケットに引いちゃった黒い線とか。



柊先生のこと、ずっと見てるから、わかる。




「・・・石岡先生」

「ん?」

「今から見ること、柊先生には黙っといてくれますか?」




・・・ねぇ、本人がいないんだから。


ちょっとくらい、着てみちゃったりなんかしてもいいよね。



別に、ヘンタイじゃないし。恋する乙女な、だけだし。


・・・ていうか、当直の日にち変わったことくらい教えろバカ。ばかばかばか。