金曜日は、雨だった。
それがもうすごい土砂降りで、わたしのちっちゃい折りたたみ傘は、何の役にもたたないくらい。
ずっぷり濡れて、制服は2倍くらい、重たくなっていた。
「柊せんせー、タオル貸して!!もうびっちょびちょ・・・」
「おっ!いらっしゃい美景っち〜」
あわてて駆け込んだ、いつもの部屋。
聞こえてきたのは、柊先生のものとは違う声。
顔を上げると、濡れて束になった前髪のすきまから見えたのは・・・
・・・石岡先生っていう、別の先生の姿だった。
「え?あれ・・・?」
「柊なら今日はいないよ?当直の日にち、今日だけ曜日変更だったんだ」
「ええ〜!?」
・・・そんなの、全然聞いてない。
ずっぷりと濡れた制服からしずくが落ちて、わたしはがっくりと、肩を落とした。