ふっ…と、空が暗く陰る。

「不思議の国への始まりは、いつでも昼下がりの微睡みの中…」

「誰…!?」

「僕さ、やぁアリス。
久しぶりだね?」

その声を聞いて、まだ幼い頃に見た笑う猫とイカレタ帽子屋とトランプの夢が色鮮やかに蘇った。
「あの時の…」

アリスは振り向きながら呟く。やはりそこにいたのはふわふわの毛皮の上にチョッキを着込んだ白ウサギ。

「さぁ、入り口はこないだと同じ、庭にぽっかりあいた深い穴!!」

そう言って白ウサギは駆け出す。反射的にアリスは追いかけた。

「待って!白ウサギさん!」
そのとき、白ウサギの姿がふっと消えた。

「きゃあっ!!」

落とし穴が口をあけてアリスを待っていた。
アリスは二回目の不思議の国への道をたどる。