そう思ったリュウは、真剣な顔をして父を見つめた。
父は簡単に話して眠っておこう、と思っているようだが、
リュウはこの際、父の口からおいろいろな話が聞きたかった。
「ああ、一緒に写っている子は… 」
「知っているよ。カイルでしょ。
僕とは父親違いの兄さん。」
「お前… 知っていたのか。
どうして知ったのだ。」
信秀は驚いてリュウの顔を見入っている。
その顔は、
カイルの存在は今から話すつもりのようだった。
「カイル…
父さんが眠っている間に病院にも来た。
父さんの足をマッサージするように言ったのはカイルだよ。」
父が知らないことは自分が話して…
とにかく全てを知りたかったリュウだ。
「カイルが… この子が病院へ来たのか。
どうして知ったんだ。」
「分からないけど、
その前から… 先輩の店にも行っていたらしい。
僕は新宿駅の近くで倒れているのを見かけて、
先輩と一緒にホテルまで送った。
父さんが北海道の学会に行った日だよ。
その時は何も知らなかったけど…
父さんの病室に来た時、この写真を見せてもらった。
あの時は僕、
父さんの事が心配で、
不安で怖かったから、
半信半疑だったけどカイルの存在が嬉しかった。」
「カイルもこの写真を持っていたのか。」
父は知らなかったようだ。
「うん。僕は、ソフィアと言う名前しか知らない、と言ったら見せてくれた。
もう一枚、父さんと、おなかに僕がいるソフィアが写った写真も。
これよりももっと破れそうなほど傷んでいたけど、
大切なものだから、と言っていた。
父さんの意識が戻った時、連絡した。
カイル、父さんと話がしたい、って何度も言っていた。
だけどまだすることがあるから、とか言っていた。」
「連絡… お前、そんなことまで出来るのか。」
父は、
既にリュウとカイルが知り合いになっていた事が、
余程の衝撃だったようだ。