【アンダー・17】で3位だったリュウは、
個人戦だったからか、
もっと大きなメダルをもらった。

が、やはり優勝してもらったメダルの重みは違っていた。



「リュウ、あと一戦、頑張ろうな。」



水嶋は自分の目標としている国体出場、

この調子なら何とかなりそうだと、リュウに確認している。

何にしても、勝負はリュウ次第、
と思っているのが水嶋だった。

リュウが放つ、切れの良い、的確なスマッシュやサーブ、

簡単には打てるものではない、
と水嶋が一番良く分かっていた。



その日は水嶋も、
手にしたメダルを家族に見せるために真っ直ぐに家に帰った。

リュウも新しいメダルを父の枕元に飾ろうと病室に戻って来た。

そして顔なじみの看護師さんたちに祝福の言葉を掛けてもらい、

夕食のできるのを待っているリュウ。


その時、家にいるはずの水嶋が顔を出した。

そう、リュウと一緒に夕食を食べるために戻って来たのだ。

こんな時ぐらい家族と興奮を分け合ったら良いようなものだが、

水嶋は、
意識のない父親と2人のリュウに
少しでも温かい雰囲気を、と思っているようだった。

一人で食べる夕食は味気ない、と思い込んでいる水嶋、

自分には縁がないが、
リュウにもなるべく、と思っているのだった。

実際のリュウは、

父が再婚してからは、
皆と一緒より
部屋に運んで一人で食べたかったぐらいだったが… 

しかし、水嶋と一緒の食事は温かかった。