「それにしてもお前たち…
俺たちの後をつけていたのか。
俺たちが感じた気配はお前たちだったのか。」
水嶋は部員たちの行動に驚きながらも嬉しそうな顔をしている。
「当たり前ですよ。
大体、当日にこんな行動をして…
部長たちは無防備過ぎます。
先生だって、余計な行動はするな、って言いましたよ。
でも、無傷でよかった。
見張っていた甲斐があったと言うものです。」
「本当です。
ここに来て怪我などされたら試合、どうなっていた事やら。
僕たちの期待がかかっているのですから、
慎重な行動をしてもらわなければ。
でももう大丈夫です。
今からは僕たちがずっと一緒ですから。」
と、石田と布施が皆を代表して声を出している。
多分、こういうことを思いついたのも彼らだろう。
1年生部員たちの顔を見ても、皆誇らしげだ。
そして警察官が来て、
オートバイの男を連れて行き、
皆は意気揚々と集合場所の学校へ向った。
顧問の川田には報告したが、
騒がないようにしようと決めた。
「よーし。神頼みまでして準備万端、
後は運を天に任せて、
力を出し切って戦うぞ。
みんな、行くぞ。」
弁財天に必勝祈願をしたわけではないだろうが、
今まで一戦も勝てなかった橘・山根組が、
相手のミスに乗じて、
思っても見なかった勝ちをもぎ取り、
水嶋・リュウ組の楽勝と合わせて、
シングルスでは吉野が勝ち、
決勝戦は3対1で曙高校が初優勝を果たした。
その後の大興奮は… 想像出来るだろう。
優勝旗は早速校長室に晴れ晴れしく飾られ、
小さいが優勝メダルが出場選手全員に渡された。