「そうだけど…
僕、頑張るから。
先輩も練習頑張っているから、大丈夫だよ。
来月に入ったらすぐリーグ戦が始まるって。
僕が頑張れば先輩は不思議なエネルギーが沸くから、
大丈夫だよ。
自分で言っていた。」
「そうだった。
健史はリュウをとても可愛がっていたから、
そんな力が出るかも知れない。
リュウ、健史に、私からも頑張れって、言ってくれ。
私もリハビリを頑張って…
ああ、リュウからの招待を待っている。
父さん、その時は一緒に応援に行きましょう。」
カイルも義足をつけたところということで、
心なしか違和感のある顔をしていたが、
心温まる家族の会話に…
いつの間にか引き込まれている。
「ああ、そうしよう。
リュウのメダルは見ても、
どんな戦いをするか、
初めてだから… 楽しみだ。
カイル、私たちは明日帰るが、
本当に大丈夫なんだね。」
父はリュウのことも気になるが、
やはり片足に義足をつけたところのカイルを案じているようだ。
「大丈夫です。
私も自分の道を再確認しました。
今までは一人だったけど、
今ではこうして家族がいる。
健史ではないけど、
そう思うだけで新しい自分が生まれるような気持です。
父さんやリュウが帰れば…
私は明日から仕事をしながらリハビリに入ります。」
と、カイルは、
義足の不安など感じさせないような言葉を出し、
2人を驚かせている。
そして、そんなカイルを気遣うような言葉を出すのは…
やはり父親として再認識している信秀だった。