まさか…ほんとにほんとに…直樹、なの?



「のぞみが走っていくのが見えたからさ。…追われてたし…。」



全部…見てたの…?



「あの男はドブにハメてきたから心配しないで!だから…帰ろ?」



ニコッと優しく笑って手を差し出す直樹。


幻覚なんかじゃない、ほんとに…直樹、だ…。


帰りたいよ、帰りたいけど…だけど…!!



「来ないで…っ!!」



私は立ち上がって後退った。



「え…何言って…。」



私の拒絶の言葉に、傷付いた顔をする直樹。


…ごめん。