「苦しそうなちーが見てられなくてね、小学生のとき、ちーに約束したんだ」
続きを促すようにあたしは頷いてみせた。
「『俺が医者になってちーがこれ以上苦しまないようにしてあげる』ってね…」
ズキン、と確かな痛みがあたしの胸を貫いた。
真っ白で統一された病室。
幼い颯太。
小さな身体を痛みに震わせる智咲さん。
その手を握り、目に涙を浮かべる颯太。
『ぼく、医者になるよ!それで、ちーがこれ以上苦しまないようにしてあげる…っ』
それは、あまりに綺麗で、残酷で、難しい約束に思えた。
「……そう、なんですか……」
やっとの思いで絞りだした声はみっともなく掠れてしまった。