隣に気配を感じなくなってふと、颯太を見ると少し後ろで固まっていた。
……?
「美保ちゃんの笑う顔、初めて見た……」
「う…」
颯太をよく見ると、頬が上気しているのを隠すように片手で口元を覆っていた。
心臓がドキドキと速くなる。
何この少女マンガ的展開……!
「い、いいですからはやく帰りましょう!置いていきますよ!」
「!!……ツンデレ!!」
…………少女マンガチックな展開が台無しだ。
すっかりライトノベルチックになってしまった。
「ああー待って待って」
ずかずかと大股で歩くあたしを追いかけて颯太が小走りで来た。
また、二人で並んで歩きだした。
そういえば、さっきの姉妹は颯太とどんな関係なんだろう。
セオリー通りならあれは“近所の幼なじみ”だ。
『翔子』さん、『ちさき』さん、と顔を思い出したところで何だかムカムカした。