「あぁ〜…笑った笑った。あ、紹介遅れてごめん。俺は美保ちゃんのお兄さんの唯一無二の親友の伊坂 颯太(いさか しょうた)っていうの。よろしくね。」
ニコッと笑うその顔は健全な女子高生なら絶対ノックアウトされるに違いない極上のものだった。
う、ちょっとカッコいい…っていやちょっと待て。
なんか『の』が多い……。
…っていやいや、この人自分で『唯一無二の親友』って言ったよ。
「はぁ…どうも。」
なんだか信じきれなくて訝しげな目で颯太を見る。
「…くくっ…。それにしてもホント美保ちゃん兄妹って面白いね。」
「はぁ…」
相変わらず笑いが収まらないようで、腕を組んで喉でクックッと笑っている。
「すごく興味もった。」
「え…」
一瞬、伊坂 颯太の顔が真剣に見えた。
そう思ったのもつかの間。
すぐにふざけた顔になりニカッと笑った。
「じゃ、俺もう帰るわ。またね、美保ちゃん。」
そう言うと、菓子皿に載ったロングセラーのクッキーを一袋つまんで、ひらりと部屋から出て行った。
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