「……『最新・医学白書』……」
思わず颯太の顔を凝視してしまった。
「最新刊が出たらいつも買うんだけど、今回はどうしようかなーと思って。」
少し、困ったような顔をして表紙を見る颯太は、あたしは初めて見る表情だった。
「……医学に興味があるんですか?」
雑誌と颯太を交互に見比べながら、そうポツリと口を突いて出た。
「うん、まぁ…ね」
やっぱり微妙な顔のままそう答えた。
なんだか、肩透かしをくらったみたいな気分だ。
拍子抜けした感じ…。
「美保ちゃん、買うのはそれだけ?」
「え、あ、はい」
唐突に言われて気のない返事になってしまった。
「じゃぁ、レジに行こっか」
颯太が歩き出し、あたしもその一歩斜め後ろについて続く。
目の前の背中がとても大きく思えた。