陸上部!!この颯太先輩が!!
意外だ。バスケ部とかなら頷けるけど、陸上とは。
目を丸くして驚いていると、颯太は腕をまくって軽くジャンプし始めた。
「…うっし!じゃあ、先にいっとくから!」
ちょうど青にかわったLED信号機の横断歩道をスタートラインの如く、軽やかに走り出した。
背筋が伸びていて、フォームがしっかりしているのが素人のあたしにも分かった。
「あいつ、ホント速いから自転車でも頑張らないとおいてかれるよ」
「うそぉ!?」
にいちゃんはよっこいしょと言ってこぎ始めた。
あたしも、スタンドを外してまたがろうとしたけどサドルが高くてお尻が届かない。
くっ……言外に脚の長さを見せつけられた!!
サドルの高さを変える余裕はなさそうなので、仕方なく立ち乗り状態でこぐしかないよう。
明日は太もも筋肉痛決定だ。
「ふたりとも待って~っ!」
既に姿が小さくなっている颯太と、少し前を行くお兄ちゃんに向かってあたしは叫んだ。
声に含まれる水蒸気が白くなって、すぐに消えた。
でも、寒さはあまり感じない。
むしろ、身体はほかほか温かかった。
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