「まあいいや。…で、一年の教室にわざわざ来た理由は?お父さんとお母さんのことを知らせに来ただけじゃないんでしょ?」
「そうそう。忘れてた。父さんと母さんのために夕飯を作りたいと思って。」
あたしがどうこうという話は堂々巡りになりそうなのでさっさと切り上げた。
「違うでしょ?作って『ほしい』から一緒に買い物に行こうって誘いに来たんでしょ。」
「…ハイその通りでございます美保様。」
ニヤッとイタズラが見つかった小学生のような顔をしてにいちゃんは笑った。
まったく。げんきんなヤツめ。
溜め息を軽く吐いて再び口を開いた。
「いいよ。昇降口で待ち合わせね。」
そう言うと、にいちゃんはパアッと顔を明るくさせて手を打った。
「りょーかい!じゃな~!」
にいちゃんは大きく手を振りながら走り出して行ってしまった。
あー台風一過って感じだー…。
にいちゃんの居なくなった廊下は急に静かになったような気がした。
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