ちょっとやめていただきたいですねそのオタク発言を学校で炸裂させるのは。


あたしは、また大きな溜め息を吐いてにいちゃんを見上げた。

馬鹿らしいことに、にいちゃんは大真面目な顔をしてあたしを覗き込んでいた。


「もうなんか何でもいいや、うん。もうそこまで来ると個性だよね。“個性”だって諦めた方が楽そうな気がしてきた」

「だってホントに可愛いんだもん。」

「~~っ、もう!やめてよそんなシスコンみたいなこと言うの!」


かああっと顔が熱くなる。

もう!ほんとにあたしとにいちゃんがカレカノみたいじゃん!

バシッとにいちゃんの二の腕あたりをはたく。


「シスコンか。そうだな、シスコンだ」

「いや、納得しないでよ!!」

「__シスコンだから、」

「は?」



「シスコンだから、妹が可愛いと困るんだよ。」



目が、点になった。





ごめん、パードゥン ミー?




そんなあたしの胸中などつゆ知らず、ぬけぬけと耳を疑うような言葉がにいちゃんの口からこぼれ出る。


「学年が違うから、美保を狙うようなケダモノから守ってやることは難しいし。」


にいちゃんがやっぱり大真面目な顔をしてあたしを覗き込む。



……この人どうしたんだろう。ってか、あたしを狙うような男子とかいないし。残念なことに。