「カントリーマー◯とー、あとは紅茶でいっかな~♪」
ロングセラーのお馴染みのクッキーを何個か菓子皿に入れる。
お湯を沸かして、熱湯を茶葉の入ったポットに注ぐ。
お盆を出して、菓子皿、ポット、ティースプーン、角砂糖を乗せた小鉢、そしておしぼりを載せた。
ポットに入った茶葉が踊り止むのを待った。
ああ、あたしなんて気が利くんだろう。
自分の用意周到さに呆れる…いや、自画自賛する。
「…よし。お湯もちょうどいいくらいに冷めたし、行こうっと」
あたしは面白そうなことが目の前にあったら物怖じしない性格だ。
トン、トン、トン、と階段を軽やかにのぼっていく。
お兄ちゃんの部屋はあたしの部屋の向かい側。
さっきは気付かなかったけど室内から何か音が聞こえてくる。
ゲームでもしてんのかな。
とりあえず、入ろうっと。
あたしはドアを軽くノックした。
「にいちゃん?お菓子持って来たよ~」
ドアをガチャっと開けようとした。
すると、中から慌てたお兄ちゃんの声が聞こえてきた。
「ちょっ、ちょっと待っ…」
「?」
ドアを開けると、目の前に大きな影が立ちはだかった。