すべての人がそうというわけではないと思う。
だけど、やっぱり身構えてしまう。
「俺は三次元も好きだけど」
「はあ?」
呆れて颯太の方を向くと、颯太の手があたしに伸びてきた。
「…っ…」
「…何で髪下ろしてるの?」
颯太は片手におにぎりを、もう片方の手であたしの髪を触りながら言った。
「あ…あ、あたしは、童顔だから、髪でカモフラージュしようと…」
ガタッと椅子が音を立てる。
颯太がおにぎりを袋の上に置いて立ち上がった。
「俺は童顔も好きだけど」
「…せ、先輩の趣味なんて知りませんよ」
「ねえ、ツインテールやってみてよ」
颯太があたしの後ろに立って髪を梳く。
「…嫌ですよ」
ぎゅっと目を瞑る。
全身にも力が入る。
「そんなに強張らないでよ」
「…あたしもびっくりですよ、学校一のイケメンがオタクで変態だなんて」
「そんな噂知るか」