「オタクで何が悪いんだろうな。」
ぼんやりと呟いた俺の言葉は、静かな部屋に妙に響いた。
「俺の趣味について、そういう奴らに理解してもらおうとは全く思ってないからいいんだ」
また、聡は嘲笑して言った。
「それに、颯太ひとりが受け入れてくれるだけでも俺は充分なんだ。」
「聡…」
聡は小さく笑った。
「でもなぁ、俺が興味あることって『オタク』っぽいオタクなものじゃないと思うんだけどなー」
「あ?」
理解しづらい日本語を話されて頭がこんがらがる。
「ほら、俺が興味あるのは何てゆーかラノベに関連するものってゆーか…」
「…ごめん、『ラノベ』って何?」
聡は宇宙人でも見るような顔で見てきた。
「…ラノベっていうのは、『ライトノベル』って言って小説のジャンルの一つだよ」
そう言うと、聡はベッドから立ち上がり机の引き出しを出した。
「こういうの。…颯太が見たようにね」
聡が差し出してきたのは、ちょっと勝ち気な顔で笑っているツインテールの女の子が表紙の文庫本だった。
「ふーん…」