「普通、っていうか…今まで俺がそういうことに興味があるってことを知った奴らは、みんな軽蔑した目で見てそれから必要以上に関わってこなくなった」



そう平然を装って話す聡は、とても痛々しい表情をしていた。


また、ドキリとした。



「けど、颯太は違う。知ってなお、話しかけてきた」



聡は嬉しそうに言った。



俺、そんなに綺麗な奴じゃないよ。


その言葉は口に出されることは無く、唾と共に飲み込まれた。



「…嬉しかったんだ。初めてだったからさ…」


聡は、『何が』とは言わなかった。



聡のクラスでの様子を思い浮かべれば、考える必要もなかった。


「隠すことない…とはさすがに俺からは言えないけど、…ありきたりだけど、個人の自由だし、もう少し堂々としていいんじゃないか?」


俺は胡座をかいた右の腿に頬杖をついて言った。


「そうだな…。けど、世の中はみんな颯太みたいな奴らばかりじゃないんだ。」


それは、悔しいことに否定出来ない紛れもない事実だった。



おおっぴらにオタクであることを表に出している奴を、そうじゃない奴らが「キモい」などと罵っているのは確かなことだ。



何故、三次元の人物の写真とかを持っていてもセーフなのに、二次元の人物のポスターとかを持っていたらNGなのだろうか。