「少し話しませんか」


「‥良いけど」


「私先生に言わなきゃイケない事があるんです、車の中で構わないんで‥」


そう言うと先生は車を公園の近くに止めて、飲み物を買いに車を降りた。


私は少しだけ深呼吸をする、先生に「お兄さんですか?」なんて中々聞けない‥。


「はい、どうぞ」


「‥ありがとうございます」


缶をカチリと開けると、私は一口ジュースを流し込む。


「先生に聞きたい事があるんです‥もし違ったら聞き流して下さい、お願いします」


「うん、なに?」


ギュッと強く缶を握る、缶はベコンと鈍い音を立てた。


「‥先生は、」


「?」


言葉がうまく出てこない、私の心臓はこれでもかってくらいドキドキ言ってる。


「先生は、お兄さんなんですか?!」


「‥え?」


先生はびっくりしたような顔をして、口をポカーンと開いたままで私を見つめる。


この反応は違ったのかも、と諦めた時―先生はにっこりと笑った。


「‥覚えてたの?」


「じゃあ‥やっぱり、先生は‥お兄さんなんですかっ?」


「そうだよ」


あのお兄さんが先生だなんて、驚く位に今と昔じゃ違うけど‥でも会えてよかった。



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