「芦名ー」
「あ、はい!」
「石川ー‥あれ?休みか」
危ない、ぼんやりしてた‥
芦名って二番目の出席番号だけど、朝はついぼんやりしちゃう。
今日から新しいバイト先だから、少し緊張して寝れなかった。
母の親友、真美さんが編集長をしているのだが‥担当の有名作家が、身の回りの仕事をしてくれる人を探しているらしく、私はそのバイトをすることになった。
癖のある人みたいだし、なんか嫌だな‥と思ったけど時給が高いのでオッケー!と即答した。
我ながら賎しい奴‥。
――――‥
―――――‥
「沙由(さゆ)ちゃん!」
「あ、真美さんっ」
「このまま先生の家行くけど、大丈夫?一応時間はあるから一回帰れるけど‥」
「いえ、大丈夫です」
学校帰り真美さんの黒い車に乗り込み、すぐにバイト先に向かう事にした。
一回帰ったらめんどくさくなるし、制服のまんまだけど‥まあ大丈夫だろう。
「じゃ、行こうか」
「はい!」
車を発進させると私はシートベルトをして、鞄の中から教科書を取り出す。
「偉いねー?勉強?」
「はい、テスト近いんで」
「沙由ちゃん、公立の中でも有名な学校通ってるもんねー?感心するわ」
「それくらいしか取り柄ないですから‥あ、ここ間違えた」
車を走らせてから20分するかしないか、有名な先生の家に着いた。
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