「あ。
もうすぐ満月じゃん?」


川沿いの土手を歩きながら、聡が嬉しそうに空を見上げる。


「見て。
かなり丸い」


ほくほくとした声と嬉しそうな笑顔でそう言う聡に、なんかちょっと意地悪したくなって、


「今日はウチに来るの?
女の人のところに行くんじゃないの?」


八つ当たり気味の声を出す。


「ん?
どしたの?
雫」


聡は立ち止まり、あたしの顔をのぞきこんだ。