黒あくまは、あたしの肩に力を入れてほんの少しの距離を作り、


あたしのあごをそっと持ち上げ、上を向かせた。




な。
・な。
・・な。
・・・何?



あわあわするあたしを、
色気の半端ない綺麗な顔で見下ろし、


その顔にびっくりするほど甘い表情を浮かべて、



「おまえを泣かすのも。
おまえの涙を拭うのも」



指先でそっとあたしの涙をすくった。