でも聡は、無言のままずっとあたしを見下ろし続け、

サラッと髪を揺らして、

あたしの手首を放す瞬間。






「泣かされてんじゃねーよ」




さっきよりも一段と低い声で、
そう、
呟いた。




「・・・え?」


あたしの声をスルーして、


「帰るぞ」


聡はくるっと振り返り、

あたしに広い背中を見せた。