「ち・・ちょっと!!」


聡の手を振りほどきたくても、

男の子の力はびくともせず、

泣いてグチャグチャになった顔を、

暗くなってきた廊下で聡にさらす。




「・・・お姉ちゃん。
男・・・苦手なんだよね?」



あたしを見下ろす大きな目。



「敦は例外ってこと?」



さらさら音をたてて零れ落ちる茶色の髪。


昨日の夜と同じ優しい香り。