「え?
おまえ、どうしたの?」



ソファに転がったまんま、
しゃくりあげて泣くあたしに、
榊原聡の体が近づく気配。



「何、泣いてんだよ」



かすかに揺れる空気と、
ふんわり香る優しい匂い。



「あー。
もう!
泣くなって」


引き気味の、
ちょっと怒った声と、
あたしの手首を掴む手。