「もう、落とすなよ」


聡の親切な言葉とは裏腹に、
その声色はあたしをからかっているようで、
おまけに口の端をちょっと上げている。


聡の大きな目は完全に笑っていて、


あたしはもうちょっとで怒鳴りそうになる自分をこらえることで精一杯だった。


今にも出そうな言葉の数々。


『ふざけんなー!!
そのカギはあたしが落としたんじゃなくて。
合鍵を作らないと不便だって言ったあんたに、貸してあげたものでしょー!!!』

それを無理やりゴクンと飲み込み、わなわな震えるあたし。