“それ”は、ほんの一瞬のことだったけど。


「・・・ぅ?」


体が震えるほどビクっとして。


おそるおそる目を開けて、
聡を見上げた時。


聡は冷たい瞳で睨むようにあたしを見下ろしていたけど。


その瞳を一瞬甘く光らせ、


次の瞬間


忌々しそうに唇をかみ締め、


視線だけ横にずらしてから、


今までで一番冷たい顔と
今までで一番冷たい声で



「オレ。
おまえとさ。
姉弟なんて、
できねぇよ」


そう言ってから、
あたしの手首を放り投げた。