「雫。
ヤバいって。
そんな顔すんな」


怒ったような口調なのに、
背中にまわされた手があったかくて。


規則正しく聞こえる心臓の音が、
すごく安心できて。


「ほら。
もう、寝ろ」


聡は和室に敷かれた布団まであたしを抱っこして、
その上に優しく下ろした。


そして、

あたしを横たわらせると、

ふわっと布団をかけて、

あたしの横で肩肘をついて頭を乗せ、

片手であたしの手をキュッと握った。


「雫が寝るまで、
こうしててやる」