……熱はないみたいだな。

僕はそっと額を離した。

「ちょッ、なにすんの……」

「ん? べっつにー」

「……なによそれ」

翠は耳まで真っ赤にしてプイっとそっぽを向いた。

こいつって大胆だと思ってたけど意外と照れ屋?

そう考えたら少し可笑しくなって笑ってしまった。

「なに笑ってんの!」

「いや、わりぃ……クククッ」

もぉー! と翠は怒っている。

「わるいって。 それより早く支度しろ」

「……あぁ! そうだったー!!」

ったく、今日出かけること忘れてたな?

「俺先に車行ってるから、さっさと来いよ」

「分かった!!」

やれやれ。




しばらくして、翠がバタバタと駆けてきた。

バタンッ

「ふぃ~」

「ちゃんと鍵閉めたか?」

「うん!」

「じゃ行くぞ」

そしてゆっくりと車を発進させた。

走らせること数十分。

僕は車を停めた。

「着いたよ」

「……ここ?」

「あぁ」

二人は車を降りた。

ここは都会から少し外れた場所にある高台。

僕等の住む町を一望出来るところ。

翠はその柵から身を乗り出して大きく伸びをした。

「わぁー……気持ちいい」