彼は水溜まりに投げられた携帯"まるこ"を拾い上げ、


自分の鞄からタオルを出してセコセコと拭いていた。


でも、どんなに拭いていても携帯はすでに電源が付かず……


彼の後ろ姿は誰かの葬式を迎えてるみたいに落ち込み悲しんでいるように見えた。



名前つけるぐらい携帯が大事だったのはわかるけど………―



「彼女と会話より携帯なの?」

「うるせぇっ!お前のせいでメモリー全部消えただろうがっ!」

「わぁっ…わる…わるかったわね!でも、彼女と帰ってるのに携帯ばかり見てる方も方よ!」

「なんだよ、逆ギレかよ。まさか…携帯にヤキモチか?」

「や…ヤイてたらわるい?私、彼女なのに携帯より下の扱いされてたらヤキモチやくわよ。」