「……」

 どうでもいいけど、あのキャビンアテンダント。

 妙にベリルさんに馴れ馴れしいわね……彼女は1人の女性に睨みを利かせた。

 大人の女性の余裕なのだろうか、そのキャビンアテンダントは鼻を鳴らすような表情を浮かべた。

 そんな女の静かな闘いなど知ってか知らずか、彼は常備されている雑誌に目を通している。

 さして興味の無いファッション系の雑誌なのだが他にも客がいる手前、さすがに武器を出して手入れをする訳にもいかずに仕方なくめくっているという処だ。

 そんな、つまらなさそうな表情の彼にもキャビンアテンダントたちは心トキめかせていた。

「……?」

 しかし、彼女はさすがに冷静だった。

 ここまで周りに無関心な彼に怪訝な表情を浮かべる。

 自分の容姿に自覚が無い訳でもないのはなんとなく解るけれど、とにかく自分についてはまるで興味が無いのだろう。

 そういう人も珍しいな……と思いつつ、彼女とキャビンアテンダントとの無言の戦いはフライトが終わるまで続いた。