空港に到着して手続きを済ませる。

 飛行機に乗った事くらいはある彼女は、手続きが違う事に気がつく。

 彼がパスポートを見せるとVIPルームに通されて、ほぼボディチェックも無く搭乗時刻まで凄い待遇を受けた。

「……」

 彼女は乗り慣れないシートで緊張が隠せない。

「ベ、ベリルさん……あのっ」

「ベリルでいい」

「こ、これって……ファーストクラスですよね」

「金は使うためにある」

 ゆったりした卵形のシートは、空の上にあっても快適な空間を作り出しキャビンアテンダントはこの上もなく丁寧だ。

 初めて乗る上質のシートに仰天したソフィアだが、それよりも驚いたのはベリルへの対応だった。

 彼の横顔を見つめて呆れたように小さく溜息を吐き出した。

 ボディチェックを受けていない彼は、驚くほどの武装をしている。

 それを知っているうえでのチェック無しなのだ。呆れるしかない。