「それで、どこに行くんですか?」

 制限速度を守りながら街中を走る車の中で行き先を訊ねる。

「ダーウィン」

「ダーウィンて、えーと……。! オーストラリア!?」

 フォシエント皇国からのオーストラリアへの直行便は無い。

 2つほどの経由でオーストラリアに向かわなければならない。

 彼女にとっては初めての長距離移動だ。

 見慣れた風景ともしばらくお別れなのだと、流れる町並みを食い入るように見つめる。

 あのお店のアクセサリーが好きだとか、あそこのカフェで友達とよくお話していたな……など目が潤む。

 時間は止まってくれない。

 そう考えると残酷ではあるけれど、未来の景色は自分では計り知れない。