「千晶もなんだ……」


ポツリと呟くと、さっきよりも落ち着きを取り戻したらしい千晶が小首を傾げた。


「あれ?そういえば、今日は虹希さんに会うんじゃなかったの?確か、久しぶりのデートだって……」


そこまで言った彼女は、ハッとしたようにあたしを見た。


瞳に涙を浮かべてウルウルしているあたしは、千晶を見上げる。


「じゃあ、もしかして紫も……?」


「うん……」


控えめに訊いた千晶に小さく頷くと、彼女はあたしの体をギュッと抱き締めてくれた。