エレベーターを降りると、部屋の前まで一目散に走ってインターホンを押した。


 − ピンポーン!


憎々しいくらいの軽快な音に、また虚しさが募る。


「……あれ、紫?」


モニター越しに聞こえて来た声に顔を上げると、すぐに目の前のドアが開いた。


「千晶〜!」


中から顔を覗かせた千晶を見た瞬間、また涙腺が緩んでしまう。


それでも涙を堪えて、何とか口を開くと…


「「聞いてよーっ!!」」


あたしと千晶の声が、ピッタリと重なった。