「とりあえず入りなよ……」


「お邪魔します」


いつもよりも元気が無い千晶は、あたしをリビングに促した。


「皆は?」


「パパとママは仕事だよ。お姉ちゃんはデートだって……」


ため息混じりに答えた千晶を見ながら、あたしもため息をついた。


「千鶴ちゃん、イイなぁ……」


呟いたあたしに、彼女が共感するように頷く。


「……で、紫はどうしたの?」


心配そうな表情を見せた千晶に、さっきの虹ちゃんとの電話でのやり取りを話した。