あっという間に夕方になり、詩歩とばいばいする。



あぁ。家へ帰りたくない。

でもしかたなく車に乗り込んだ。





帰ったら、玄関にパパがたっていた。最近めったに家に帰ってこないのに・・・

「おぉ侑子、おかえり。早く仕度をして来なさい。」


「えっ 今日何か予定ありましたか?」


「侑子の誕生日じゃないか。パーティーだぞ」



あぁそうか自分の誕生日も忘れてた。

「わかりました。すぐに」


「あぁ。侑子のドレス姿たのしみにしてる」



嘘。そんなの嘘。思ってもないこと口にしないで。





パパは大手の家具メーカーの社長をしている。小さいころは、そんなパパが誇らしかった。でも、私のことを「ユリコ」と呼び間違えることがよくあったの。わたしは「ユウコ」なのに・・



私は小さいながらも、今まで捨てられずにいれるのは、たぶん「ユリコ」さんの代わりだからと思うようになった。



もう私を必要とする人なんていない。こう思うようになったのも、このころ。





パーティの仕度をしながらふとこんなことを思い出していた。