父は母を愛していた。

母は子供のように父に甘えた。

そんな母を父は愛おしい目で見つめ
そして、母を甘やかした。


そんな日々が続いて、
少しずつ状態は安定していくかも
しれないと願ったが、
その願いとは対象的に母は父に依存しはじめてしまう。

姿が見えなくなると、不安になり家の中を探し回った。


薬の量が増え始めると、一日の大半をベッドの中で
過ごしはじめ、思うように動かない身体に苛立ち
父に八つ当たりしたり、そうかと思えば泣いて謝った。


父は徐々に痩せていった。
穏やかで優しい父からは一つの愚痴もこぼすことはなかった。


母は壊れはじめていた。

大量の薬はそれだけで、お腹が一杯になりそうな程だった。

医者からの入院の進めも、母は抵抗した。

気持ちが落ちつき、
冷静な時に母は私を抱きしめ謝った。


そんな母でも私は好きだった。

父も同じように。