「あのね、サクラ」


ミノリの顔には、哀れみがにじみ出ている。


「なによ」


「辛い気持ちはわかるけど、私たちまだ17歳だよ。もうすぐ高校生活最後の年が始まるんだし、ケンタくんのことは早く忘れたほうが」


「わかってる」


ミノリの言葉を遮ってしまった。
ずっと近くで応援してくれていた友達が私になにを伝えたいか、十分にわかってた。





ケンタの本命の彼女に、私は勝てなかった。


そう、たったそれだけのこと。



忘れなければいけない。




一緒に観た映画も、

彼の冷たい指先も、

一度だけ言ってくれた
"スキ"の言葉も






「サクラ…大丈夫?」


「っ………ほんとにっ………………………………………好きだったんだもん」


「うん…サクラ、よく頑張ってたよ」


ミノリの腕が、震える私の肩を抱きしめた。












17歳、冬。


私のちょっとアブノーマルな、悲しい恋が終わりを告げました。