「珍しいね、伊織が寝るなんて」


私がそういうと、
伊織も納得したように相槌をうった


「昨日さー・・兄ちゃんと夜中まで
 ゲーム対戦してたんだよ」


「あぁ、例の?」


「そそ、例の」


伊織は、かわいらしい笑顔を見せた
私は自分の胸がキュンとしたのが分かった

伊織がいう兄ちゃんとは、
彼より3つ上のお兄さんで、現在大学3年生。

よく彼の話にでてくる、自慢のお兄さんらしい
実物は見た事ないけど、噂では伊織と似ていて
やはり整った顔立ちをしているんだと。



「兄ちゃんが、
 勝ったら1000円くれるっつーから」



そう話しながら、
一生懸命ノートを書き写していた。



「で、勝ったの?」


「・・・完っっっ敗!俺、兄ちゃんに
 何かで勝った事一度もないんだ~」



そう言いながらも
全然悔しいそぶりは見せず、
寧ろ誇らしげに話す伊織。