ドクン
衝撃が走った。
なんだろ?この気持ち
恥ずかしさを押し殺して
精一杯声を出す。
『うん。大好きなんだ、そのアーティスト』
「本当に?良いよね。自分の周りで知ってる人あまりいないからビックリしたよ。」
甘い声と一緒にはにかむ顔
全てが計算されているかのように完璧だ
『そうなの?実は私の周りもあまりいないの』
勝手に口が喋りだす
さっきの恥ずかしさよりも
今はなぜかこの人の声が聞きたいという
気持ちが勝っているみたい
「そうなんだ。てか、顔赤いよ?」
その言葉がさらに私の鼓動を早くさせた
顔の温度が上がっていくのが分かる
『えっ…今日暑いからかな;』
動揺しているのがバレないようにと
祈りながら下手な嘘をついた
「クスッ。今日は今月で一番の冷え込みなのに。もしかして照れちゃってる?笑」
やばっ
こんな嘘お見通しだ…
『ち、違います!!熱でもあるのかな…』
なんて下手過ぎる言い訳なんだ
言った後で後悔
ちょうどその時
私が降りる駅に着いたことを知らせる
アナウンスが聞こえた
『じゃあ私、この駅なので!!さようなら!!』
扉が開くと飛び出すように出た。