あんな女、初めてだ。
女と言えば、スグ泣き、スグ可愛っ子ぶって、スグアピってくる。
キモ過ぎて、吐き気がする。
けど、アイツは――
「……目、泣いていたな」
「…ああ」
2人の顔がこっちを向く。
感情を表に出さずに、押し堪えてる。
確かに、アイツの目。
苦しそうだった。
涙なんか流してなかった。
けど、表情から分かった。
「ったく! いくら女が苦手でも、ウソまで言うなよ」
優輝が俺を見て、呆れた顔をする。
「そーだよ! もし沙希の過去にあんな思い出があったらどーするの?」
ドクッ
確かに反応した。
“沙希の過去”
一つ、思い当たるものが浮かんだ。
あの、ゴミ箱に入っていた写真。