別に、本気で言ったワケじゃない。

まあ、バカなのはホントだけど。


コイツは別にデブでもないし。
ってかむしろ細い。

だけど、なんか言ってしまった。

理由なんてねぇけど。


だけど、俺は気づいた。
俺だけじゃなく、優輝や翔も。

だんだんと小刻みに震えて行くアイツ。

自分では、直そうとしてる様だけど、押さえきれない様子。


ヤベェ。
俺、なにか悪い事言ってしまったか?

いつもならこんなの気にしねぇけど…。


なんか気になる。

「沙希…?」
翔が気まづそうに声を掛ける。
それに、女は肩を揺らし、驚いた様に俺らを見た。

「ご、ごめん。トイレ、行ってくるっ…」
「え? さ、き……」
翔が戸惑いの声を上げる。

「あ、アハっ…大丈夫だから! 全っ然、大丈夫だからっ…」

……強がりだ。

今までアイツの様な女に合った事なんてねぇ。