時刻は午前11時45分。
そろそろ店内も混み始めてくる。
ただ、ここは常連客しか入ってこないから、
混雑はしても、客が列をなして待つほどは混みはしない。
こういうお店って、固定客はいるけど、
新規のお客さんってなかなか得難い。
外見からも、一見さんお断り的なオーラが漂っているから、
入った事のない人に、
ちょっと入ってみようか、という気分にはさせないだろう。
私も、実際ここに入ったきっかけは、咲だった。
咲が「美味しいコーヒーを出してくれるお店があるから」と言って、
連れてきてくれたお店がここだった。
それ以来、しょっちゅうこのお店に通っているわけだけど。
それじゃあ、咲はどうやってこのお店を知ったのだろう。
そんなことをぐるぐる考えていると、マスターが両手に料理を持って、
再び私たちの席まで来てくれた。