教室に着くと、まだ先生は来ていない。


小さめの教室に、ついこの前、学校に入ってきましたという雰囲気の漂う学生たちが、


大半を占めている。


その中に、ぽつ、ぽつ、と、フレッシュ感を全く感じない、


そう、まるで私のような人間点在している。


私は、その人たちの傍に座れるように席を探していると。


「あ、佳子ちゃんじゃん」


突然誰かに声をかけられた。


「あ、龍司君じゃん、あれ、どうしたの?」


「え、もちろん、単位の為だよ」


同じ学科の、龍司君だった。


就活までは、チャラチャラした感じだったが、


就活してから、一転、真面目な感じに風変わり。


お陰で女の子からも人気が出たせいか、


どうやら、前のチャラい感じに戻す気は無くなったらしい。


「よかったー。佳子ちゃんも一緒なら、俺、休んでも」


「何言ってるのよ。年寄り1人なんてみじめじゃん!」


先生が来てないせいか、


皆、好き好きに喋っている。


私も、龍司君と他愛ない会話を楽しんでいた。


授業の始まる時間から10分経った。


決まりでは、先生が15分以上遅刻すると、自然に休講になるはずだ。


淡い期待を胸に抱いて、時計の針が早急に進むよう祈ったが。






がら。





ドアが、開いた。